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最高裁判所第三小法廷 昭和31年(す)148号 決定 1956年4月17日

主文

本件申立を棄却する。

理由

本件申立の趣旨は前記被告人に対する強姦、賭場開張図利被告事件(当庁昭和二八年(あ)第五一七三号)について昭和三一年三月五日上告棄却の決定の告知を受けたところ、同決定の確定前である同年同月六日被告人は死亡したので右決定を訂正し公訴棄却の裁判を求めるというのである。よって調査すると被告人が昭和三一年三月六日死亡したことは医師征矢野道興作成の死体検案書及び東京都新宿区長、岡田昇三認証の戸籍謄本によって明らかであるが、被告人が死亡したのは前期上告棄却の決定告知後のことであること、これまた一件記録上明瞭である。即ち右上告棄却の決定が告知せられた当時においては未だ被告人は死亡せず存命中であったのであるから本件公訴を棄却せず上告を棄却した当裁判所の決定は相当であってその決定が現在、未確定であると否とにかかわらず同決定を訂正すべき理由はすこしもない。

よって本件申立は理由がないから裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 本村善太郎 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 垂水克己)

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